防塵マスク規格改正

(防塵マスクの規格改正内容のポイント)

@・・・技術革新等の進展に伴い防塵マスク等の性能基準等を見直すこと。  
A・・・防じんマスク等の性能試験方法いついて国際整合を図るともに、新たな
性能基準を定めること(ただし日本の独自性も考慮して策定)。  
B・・・作業の態様、有害物等の発散の態様等を考慮し、防じんマスク等の種 
類等区分を設ける。                            
C・・・作業態様、有害物等の発散の態様等を考慮し、防じんマスク等の適切 
な選択・使用等の基準を示す、といったことがあげられます。   

試験方法については米国のNIOSHなどの欧米の規格を参考にしており、
総じて試験内容は従来の規格に比べ非常に厳しくなっています。     
 以下に従来の国家検定規格と大きく変更になった点のついて抜粋し解説 
 しています。                                     

(試 験 粒 子)
ポイント1
・・試験粒子はより微細になり、固体粒子用、液体粒子用の2種類
   になります。

 試験粒子の種類
   基本的にフィルターにとって捕集しにくい粒径と種類を選定しています。
   固体粒子用として従来の石英(シリカ)粉じんに比べて粒径の小さい
   (塩化ナトリウム)液体粒子用としてオイルミスト(フタル酸ジオグチル)
   2種類になりました
 試験粒子の大きさ
   従来の2μmから0.1〜0.3μm程度と非常に小さな粉じんになります。
   このために、従来のシリカ粉じんにおける試験では捕集効率95%の性
   能をもつマスクであっても、新規格の試験条件ではおよそ80%程度の
   捕集効率で表示されることもあります。

(通 気 流 量)
ポイント2
・・捕集効率試験の試験流量は従来の3倍近い85リットル/分となります。
 試験流量
   従来の規格では、毎分30リットルの定常流による試験を実施していまし
   たが、呼吸をする際おピーク時を想定した最大呼吸速度での性能を規
   定しています。
   なお、流量が従来の試験流量30リットル/分にくらべ3倍近い流量になる
   ため、フィルターの繊維を通かする粉じんのスピードが速くなる事から、
   静電捕集型のフィルターにとっては厳しい試験条件といえます。
 
ポイント3
・・捕集効率の測定は一定の粉じんを供給するまで測定します。
  従来の規格では初期値における基準となっていましたが、初期値から
  所定の粉じん量が堆積するまでの間の捕集効率を判定の基準としてい
  ます。ある程度粉じんが堆積した状態で捕集性能を測定するため、初期の
  性能のみ良いようなマスクにとっては厳しい試験内容になるといえます。
ポイント4
・・捕集効率試験により、マスクの捕集性能は固体粒子用、液体粒子用
  のそれぞれで80.0、95.5、99.9%の3ランクに分かれます。
        取り替え式(R)               使い捨て式(D)      
固体粒子用(s) 液体粒子用(L) 捕集効率 固体粒子用(s) 液体粒子用(L) 捕集効率
RS1 RL1 90.9%以上 DS1 DL1 80.0%以上
RS2 RL2 95.0%以上 DS2 DL2 95.0%以上
RS3 RL3 99.9%以上 DS3 DL3 99.9%以上
ポイント5
・・吸気抵抗は従来の一律から区分ごとになります。
  従来は一律の抵抗値でしたが、捕集効率の区分に応じて規定されていま
  す。高い捕集性能であっても低い抵抗値が求められています。
ポイント6
 排気弁の気密試験 
   従来の「動的漏れ率試験」から防毒マスクと同様の試験方法の「作動気密
   試験」になりました。
 死積 
   従来はマスク面体内の容積をはかっていましたが、新たにヨーロッパ規格
   で採用されている「二酸化炭素濃度上昇試験」にて行うことになりました。
   ろ層の厚みが大きく、かつ排気弁を備えていないマスクにおいては、呼気
   (排気)を再吸引する割合が大きいことから、単に面体内の容積を測ること
   は計測できないとして変更されたものです。上昇の状態を把握するために
   行い、マスクを装着した状態と、装着しない状態での二酸化炭素の濃度を
   測り、二酸化炭素濃度の差が、一定の値以下であこととされています。
 構造
   使い捨て式防じんマスクについても原則しめひも調整が可能であることと
   されています(ただし、フィット性が除良ければこの限りではありません)。

防毒マスクの規格改正

(防毒マスクの規格改正内容のポイント)


 フィルター付きの防毒マスクが「防じん機能を有する防毒マスク」          
                                として新たに規定されています。

ポイント1
・・防毒マスクの区分がかわりました
   フィルター付の防毒マスクが規定されましたため、従来、6種類あった防毒
   マスクの区分のうち、「亜硫酸・いおう用」が削除され、5種類となりました。
   (「亜硫酸・いおう用」は「亜硫酸ガス用」ろ過材になります)。
新規格  区分
   
 ハロゲンガス用   一酸化炭素用    亜硫酸ガス用
   
 有機ガス用      アンモニア用
ポイント2
・・粒子捕集効率試験が新たに規定されました
   防じん機能を有する防毒マスクの規定が新たに設けられ、防じんマスクの
   捕集効率試験と同じ粒子補修効率試験を行うこととなりました。
   粉じん捕集効率については、固体粒子用、液体粒子用のそれぞれで、
   80.0%、95.0%、99.9%の3ランクにわかれます。
   さらにフィルター付き防毒マスクについて、防じんマスクお規格と同様の
   試験が行われることとなりました。したがって、防毒マスクについても、粉じん
   捕集効率としては防じんマスクと同等の性能をもつことになります。
       捕集効率の区分    
固体粒子用(s) 液体粒子用(L) 捕集効率
S1 L1 80.0%以上
S2 L2 95.0%以上
S3 L3 99.9%以上
ポイント3
・・フィット性の確認が出来る事が必要になりました
   構造においては従来特に規定のなかったフィットテストについて、「着用者
   自身が随時容易に確認できる」とされています。防毒マスクについても、
   防じんマスクと同様に、フィットテスター等で密着性の確認が出来る事が必要
   になりました。
ポイント4
・・吸収缶の通気抵抗の規格値が変わりました
   吸収缶の通気抵抗試験について、フィルッターのある吸収缶については、
   捕集効率の区分に応じたて抵抗が吸収缶の抵抗にプラスされるため一
   酸化炭素用を除き、通気抵抗の規格の上限値が高くなっています。
   捕集効率の区分ごとに異なる規格値が設定されています。
ポイント2
・・その他
   防じんマスクと同様に「二酸化炭素上昇試験」になりました。
   防毒マスクについては、とくに大きな変化はありませんが、吸収缶フィルター
   付きについては、防じんマスクの規格に合わせ変更されているため、高性能
   フィルター付き吸収缶を検定提出する予定です