1 廃棄物焼却施設における焼却炉の運転、点検等作業又は解体作業に従事する労働省
のダイオキシン類ばく露防止対策として、厚生労働省では、平成13年4月25日、労働安
全衛生規則及び安全衛生特別教育規程を改正し、これらの作業に当たって、特別教育
の実施、空気中のダイオキシン類濃度の測定、発散源の湿潤化、ばく露防止のための
保護具の使用等を義務付けることとした。当該改正労働安全衛生規則等は、
平成13年6月1日より施行することとしている。
2 これまで、廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類対策については、
@ 平成10年7月「ごみ焼却施設におけるダイオキシン類ばく露防止対策について」
を通達
A 平成11年12月に@を発展させた「ダイオキシン類による健康障害防止のための
対策要綱」策定
B 平成12年9月に「廃棄物焼却施設解体工事におけるダイオキシン類による健康障
害防止について」(緊急対策)を通達等の行政指導を行ってきたが、今般、これらの
実績を踏まえて必要な事項を労働安全衛生規則等に盛り込み、対策の徹底を図る
こととしたものである。
3 また、改正労働安全衛生規則等に規定された事項とともに、事業者が講ずべき基本的な
措置をあわせて示し、これらを総合的に講じることにより、労働者のダイオキシン類への
ばく露防止対策の確立を図ることを目的に、「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン
類ばく露防止対策要綱」を定め、この要綱に示された措置の徹底を図っていくこととしている。
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労働安全衛生規則の一部を改正する省令及び安全衛生特別教育規程の概要
平成13年4月25日
厚生労働省労働基準局
改正内容
1 安全衛生のための特別教育の実施(労働安全衛生規則第36条及び第592条の7、安全衛
生特別教育規定第21条)
(科目) ダイオキシン類の有害性(0.5時間)
作業の方法及び事故時の場合の措置(1.5時間)
作業開始時の設備の点検(0.5時間)
保護具の使用方法(1時間)
その他ダイオキシン類のばく露の防止に関し、必要な事項(0.5時間)
2 廃棄物焼却施設解体工事の際の計画の届出(労働安全衛生規則第90条)
(対象) ダイオキシン類対策特別措置法施行令別表第1第5号に掲げる廃棄物焼却炉(火
格子面積が2平方メートル以上又は焼却能力が1時間当たり200キログラム以上のものに
限る。)を有する廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体
等の仕事
3 ダイオキシン類の濃度の及び含有率の測定(労働安全衛生規則第592条の2)
4 解体工事の際の付着物の除去(労働安全衛生規則第592条の3)
5 ダイオキシン類を含む物の発散源の湿潤化(労働安全衛生規則第592条の4)
6 保護具(労働安全衛生規則第592条の5)
(内容) ・事業者は、3のダイオキシン類の濃度及び含有率の測定の結果に応じて、
適切な保護具を労働者に使用させなければならないこと。
・ 労働者は、保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなけれ
ばならないこと。
7 作業指揮者の選任(労働安全衛生規則第592条の6)
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廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱の概要
平成13年4月25日
厚生労働省労働基準局
1.趣旨
廃棄物焼却施設における運転、点検等作業及び解体作業に従事する労働者のダイオキ
シン類によるばく露を防止するため、改正労働安全衛生規則に規定された事項とともに、
事業者が講ずべき基本的な措置を示したもの。
2.対象
対象は、事業場に設置された廃棄物焼却炉を有する焼却施設において行われる運転、
点検等の作業及び解体作業
ここでいう廃棄物焼却炉とは、火床面積が0.5平方メートル以上又は焼却能力が1時
間当たり、50キログラム以上のものに限る。(ダイオキシン類対策特別措置施行令別表
第1第5号に掲げるものと同じ。)
3.主な対策の概要
(1) 運転、点検等の作業
・ 空気中のダイオキシン類濃度の測定
・ 測定結果に基づく管理区域の決定
・ 管理区域に応じたダイオキシン類の発散防止対策
・ 使用する保護具の選定
・ 特別教育、作業指揮者の選任
・ ダイオキシン類対策委員会の設置
(2) 解体作業
・ 所轄労働基準監督署長あて計画の届出
・ 汚染物のサンプリングの調査、実施
・ 空気中のダイオキシン類の濃度の測定
・ 調査・測定結果に基づく解体方法の決定
・ 使用する保護具の選定
・ 特別教育の実施
・ 作業指揮者の選任
・ 汚染物の除去、作業場所の分離
・ 発散源の湿潤化
・ 排気、排水及び解体廃棄物の処理方法の適正化
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○ 労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)(抄)新旧対照表
改 正
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目 次
第三篇 衛生基準
第一章 有害な作業環境(第五百七十六条―第五百九十二条)
第一章の二 廃棄物の焼却施設に係る作業(第五百九十二条の二―第五百九
十二条の七) (第二章から第九章まで 略)
(特別教育を必要とする業務)
第三十六条 法第五十九条第三項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は
次の通りとする。
(第一号から第三十三号まで 略)
三十四条 ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成十一年政令第四百三十三号)
別表第一第五号に掲げる廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設(第九十条第五号
の三を除き、以下「廃棄物の焼却施設」という。)においてばいじん及び焼却灰その他の
燃え殻を取り扱う業務(第三十六号に掲げる業務を除く。)
三十五条 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉集じん機等の設備の保守点検
等の業務 三十六条 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の解
体等の業務及びこれに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務
(特別教育の細目)
第三十九条 前二条及び第五百九十二条の七に定めるもののほか、第三十六条第一号から
第十三号まで、第二十七号および第三十号から第三十六号までに掲げる業務に係る
特別教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
(仕事の範囲)
第九十条 第八八条第四項の厚生労働省令で定める仕事は、次のとおりとする。
(第一号から第五号の二まで 略)
五の三 ダイオキシン類対策特別措置法施行令別表第一第五号に掲げる廃棄物焼却炉
(火格子面積が二平方メ―トル以上又は焼却能力が一時間当たり二〇〇キログラム
以上のものに限る。)を有する廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん
機等の設備の解体等の仕事 (第六号および第七号 略)
第三篇 衛生基準
(第一章 略)
第一章の二 廃棄物の焼却施設に係る作業
(ダイオキシン類の濃度及び含有率の測定)
第五百九十二条の二 事業者は、第三十六条第三十四号及び第三十五号に掲げる業務を行
う作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキ
シン類(ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第二条第一項に規定
するダイオキシン類をいう。以下同じ。)の濃度を測定しなければならない。
2 事業者は、第三十六条第三十六号に掲げる業務に係る作業を行うときは、当該作業を開始
する前に、当該作業に係る設備の内部に付着した物に含まれるダイオキシン類の含有率を
測定しなければならない。
(付着物の除去)
第五百九十二条の三 事業者は、第三十六条第三十六号に規定する解体の業務に係る作業を
行うときは、当該作業に係る設備の内部に付着したダイオキシン類を含む物を除去した後に
作業を行わなければならない。
(ダイオキシン類を含むものの発散源の湿潤化)
第五百九十二条の四 事業者は、第三十六条第三十四号及び第三十六号に掲げる業務に係る
作業に労働者を従事させるときは、当該作業を行う作業場におけるダイオキシン類を含む物
の発散源を湿潤な状態のものとしなければならない。ただし、当該発散源を湿潤なものとする
ことが著しく困難なときは、この限りでない。
(保護具)
第五百九十二条の五 事業者は、第三十六条第三十四号から第三十六号までに掲げる業務に係
る作業に労働者を従事させるときは第五百九十二条の二第一項及び第二項の規定によるダイ
オキシン類の濃度及び含有率の測定の結果に応じて、当該作業に従事する労働者に保護衣、
保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を使用させなければならない。
ただし、ダイオキシン類を含む物の発散源を密閉する設備の設置等当該作業に係るダイオキシ
ン類を含む物の発散を防止するために有効な措置を講じたときは、この限りでない。
2 労働者は、前項の規定により保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなければ
ならない。
(作業指揮者)
第五百九十二条の六 事業者は、第三十六条第三十四号から第三十六号までに掲げる業務に係る
作業を行うときは、当該作業の指揮者を定め、その者に当該作業を指揮させるとともに、前三条
の措置がこれらの規定に適合して講じられているかどうかについて点検させなければならない。
(特別の教育)
第五百九十二条の七 事業者は、第三十六条第三十四号から第三十六号までに掲げる業務に労働
者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、特別の教育を行わなければならない。
一 ダイオキシン類の有害性
二 作業の方法及び事後の場合の措置
三 作業開始時の設備の点検
四 保護具の使用方法
五 前各号に掲げるもののほか、ダイオキシン類のばく露の防止に関し必要な事項
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(改正は現行の下記の条項です) |
目 次
第三篇 衛生基準
第一章 有害な作業環境(第五百七十六条―第五百九十二条)
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